読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2月24日「NEWS ZERO」小沢健二出演コーナー文字起こし

NEWS ZERO

「ZERO CULTURE」のコーナーに小沢健二さん出演。(キャスターの村尾信尚さんと対談)

以下、出演部分の文字起こしです。


村尾「世界の何を見て、何を感じたのか、テレビで初めて語ってくれました。」


会場へ向かう前の小沢ワンショット

(テロップ:テレビでの対談はいつ以来ですか)

小沢「1998年に小泉今日子さんとワインの対談をしたのが最後で、そのあとにテレビに一本出て、そのあとずっとテレビに出ない時間が続きました。よろしくお願いします」

(階段を上がり村尾さんが待つ会場へ)

村尾「初めまして、村尾です」

小沢「初めまして、よろしくお願いします」

村尾「今日は楽しみにしてました」

小沢「楽しみです。よろしくお願いします」

(紹介VTR:愛し愛されて生きるのさ、ラブリー、ぼくらが旅に出る理由(1996年、FANの映像)、カローラIIに乗って)

村尾「小沢さんは20代から日本を離れるわけですよね。これはどういう心境で海外へ行こうと?」

小沢「何でか、アメリカのブルースとかアメリカの文学とかが大好きで、どうしても、住むチャンスがあるんだったら住みたいっていうのは、単純に、子どもの頃からありました。

それで、ある時期、もう本当にたくさん録音(レコーディング)して、たくさんっていうのは数がたくさんっていうことではないんですけども、ものすごく音楽にいろんなことを詰め込んで、それをやった反動みたいなのがやっぱりあって、やっぱり、ほんと、なんだろ… ボロボロになっちゃうというかそういうのはあって、どうにかしなきゃというのがあって、ただある意味自分は投資をされている身というか、スターになるっていうことで投資をされている身なわけで、それを突然、しないっていうのは…続けないっていうのはけっこう難しいことなんですけど、それでもやっぱり(アメリカに行って)なぜ自分がこういう音楽や文学が好きかというのをすごく知ることができたのは、なんかすごく落ち着く気持ちを作ってくれています」

村尾「実は大統領の投開票日に私もニューヨークにいたんです」

小沢「あっ、そうなんですね」

村尾「トランプ大統領を生み出す風土というのは感じていましたか?」

小沢「もちろん。あのー、トランプ大統領っていうかたちで、明らかなビジュアルでボンッと出たことですけれど、新しく起こっていることではなくて、民主党を選んでも共和党を選んでも、コーラとペプシを選んでいるような状態になってしまうっていうのは、構造的にずっとあったことだと思います。

マイケル・ムーア(監督)が面白いことを言っていたんですけど、その、無力感があまりにも多い中で、その(投票所の)カーテンが閉まった瞬間に、外ではどんな綺麗事を言っいても、「くそくらえ!」っていうやつが絶対いるって、ずっと、選挙の前からよく言ってて、その気持ちっていうのはすごくわかります」

(VTR:都内のレコードショップの映像〜流動体の歌詞「もしも間違いに気がつくことがなかったのなら?」を引用)

ナレーター「まるで、過去の自分に問いかけるような表現となっている」

小沢「村尾さんは、間違いになんか気がついて、あっ、これは間違いだったと思って直したことって何か…(ありますか)?」

村尾「間違いに気がつくことは何回もありますね」

小沢「ね。間違いに気がつくって、大事ですよね」

村尾「大事だと思いますね」

小沢「間違いに気がつくっていうので言うと、アメリカに住んでいると、その、日本人っていうのは、英語の文脈の中で謝りすぎるっていうのがあって。いつもこう"I'm sorry."とか言ってるとかっていうのがあって。今のアメリカの後を追っているグローバル社会っていうのは、なんかこう、謝っちゃダメだ、謝ることは自分の非を認めて責任が発生するから謝らないようにしなさい、みたいなのがあって。僕は日本に来てみんながすごく謝ってお辞儀をしているっていうのはすごくいいことだと思っていて。自分はそんな大した存在じゃないっていうのを思っている(持っている?)のは、すごく大事なことだと思うんですよね」

村尾「アメリカにいると、日本の芯というか、それが見えてくるということですよね?」

小沢「そうですね。日本が一番見えてくるというか、それがすごく細かくくっきりと見えてきて、今の日本の教育を受けていると、“外国”っていったときに、あのー、本棚にある本を見ても、必ずヨーロッパとアメリカの本がズラーッと並んでいるみたいなのがあるけど、他に180何カ国とかあるわけで。で、僕と妻はヨーロッパとアメリカじゃない国でトータルで3年ぐらい旅行していて、で、その中から、欧米社会というのはかなり特殊なものだなというふうに思うようになりました」

(VTR:旅の写真〜執筆活動紹介〜デモの話)

村尾「印象に残っている地域や人々、思い出に残っている地はありますか?」

小沢「えーと、ペルーとかボリビアとかそのアンデス山脈のほうでは、そのー、街にいても、都市にいても、すごく昔からの民族衣装を着て、暮らしをする人がたくさん街の中にもいるんですけれど、貧しい格好でいるなと思うんですけど、そうではないんです。伝統衣装を着てるっていうのは、すごく、高いお金がかかることなんです。時間もかかるし、手間もかかるし、わー、あっちであのTシャツとジーパンにしちゃえば10ドルで済むんだけどっていうふうにならないで、本当にすごく一生懸命稼いで着なきゃならない伝統衣装を着ているっていうのは、やっぱり素晴らしいことなんです。それを着ることの誇りと一緒に生きていくみたいな…。

なんでも欧米の基準に揃えて考えることはしなくていいと思うんです。僕はこの間新聞に「ビバ、ガラパゴス!」っていう文章を書いたんですけれど、ガラパゴス(化)って、なんて希少で、貴重で、稀で、不思議で、なんて素晴らしいものが残っているんだろうと思って。それこそすごくきちんと謝るとか、いいところがたくさん残っているなあと思って。日本がこんなこともできるよ、僕たちはこういう考え方を持っているよ、私たちのこういう考え方ってすごくいいよ、っていうのは、たくさん提示できるものがあると、すごく思います」

(対談VTR終了〜スタジオで)

村尾「あのー、VTRを見ても分かるように、小沢さん、私の問いかけに一つ一つ誠実に答えてくれるんですよね。小沢さんは、社会や人間を見るときの視点の位置や角度がとてもユニークな人だと思うんですね。その視点から眺める風景を、時には音楽という形で、また時にはエッセイという形で表現していると思うんですね。1時間程度お話を聞いたんですけど、話題は尽きませんでした。小沢さん、またお話を聞きたいと思う人です」